8月に徳島県立美術館にて開催された特別展「自転車のある風景展」、当ブログでも紹介しようと来訪しましたが残念ながら撮影禁止で、入り口にある自転車くらいしか紹介できませんでした。美術館では数台の自転車がポツンポツンと展示されていましたが、その自転車は大阪堺市にある「自転車博物館 サイクルセンター」が所蔵しているアンティーク車で、こちらに行けば所狭しと貴重な自転車展示されています。
博物館では、2021年11月28日までは、一般の展示に加え「エピック レーシング サイクル展」という企画展が開催されています。
「自転車博物館サイクルセンター」は、堺市内に本社を構える自転車企業のシマノの3代目社長島野敬三氏による提案で、1992年に開館しました。自転車の歴史や構造を映像や資料から学べるだけでなく、体験的に学べる展示や試乗イベントなども定期開催したりもしています。
さて、今回の企画展なのですが、コロナの影響があったからなのか、昨年の開催の「オリンピック出場自転車展」の内容を引き継ぐような展示となってます。自転車によるレーシング競技は、1896年近代オリンピック第1回アテネ大会から正式種目として途切れることなく実施され、使用機材と共に進化してきました。
▲ 大宮政志選手が東京五輪(1964年)で使用した片倉工業「シルク号」
1秒でも早く、そしてライバルより先にゴールラインを通過し栄光を勝ち取るため日本の自転車企業も挑戦を続け、2021年に開催された東京大会ではおよそ7割の自転車に日本製の部品が採用され開発力が高く評価されていますが、その第一歩は1973年に欧州の強豪プロチーム「フランドリア」への供給にて国際レース参戦までさかのぼります。
▲ ベルギーの強豪チーム「フランドリア」使用バイク
速度が上がれば上がる程、選手が対峙しなければならい見えない敵の「空気抵抗」は、自転車や機材の進歩にも影響を与え、整流効果がある革新的なフォルムをしたバイクが高速化するレースに投入されるようになります。
▲ 効果的な空気の流れを追求した独特なフォルムのF.MOSER(モゼール)のファニーバイク
フレームや部品の素材も研究が進み、素材も鉄から軽量なアルミやカーボンが採用され、精密で選手の力を最大限に引き出す高い剛性と推進性を誇るマシンの開発競争が極限まで繰り広げられます。
▲ 最先端の技術が集約されたGIANTのロードレーサー
また、同展では特に変速機についても詳しく説明されています。
1937年にロードレースの最高峰「ツール・ド・フランス」にて変速機の使用が解禁になると研究開発が盛んになります。特別展では、その進化過程を実車を見ながら比較することができます。
▲ 数々の金字塔を打ち立てた伊・Campagnolo社の変速機
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この施設は、本年11月末で閉館となり、来春に南海・堺東駅の駅前に、延床面積4000㎡の5階建ての超大型スケールの博物館にリニューアルされる予定となっています。
自転車産業の世界的な拠点である堺市の新名所となること間違いなしの新施設もまた当ブログでも紹介したいと思います。