大阪のメインストリート「御堂筋」に自転車専用レーンができたので見に行ってきました。
完成したのは難波のマルイの前から千日前通りまでの300m程の区間で、自動車道と完全分離された道幅約3mの自転車専用レーンがまっすぐに伸びていました。
今回の整備は一部で、全体の計画としては現在6車線ある御堂筋の新橋(心斎橋)~難波西口の1.2km区間を4車線に減らし、自転車と人が楽しめる空間を整備していくとして、橋下市長(当時)は「(御堂筋を)パリのシャンゼリゼ通りを目指す」と考えをしめしていました。また、将来的には淀屋橋までの延長も検討されていて、自転車利用環境の大きな改善が期待されています。
「交通戦争」とよばれていた40年前と比べると御堂筋の自動車の交通量は5割減少している一方、自転車交通量は6~7倍に増加しています。南下専用の車両一方通行の道路で、半減したといっても自動車は多く、自転車利用者からは難波から心斎橋に行く際に逆走になり通行できないという声が上がっていました。
▲ 現在と比べ明らかに自動車の交通量が多い昭和40年代の大阪
3年前の2013年に本町通にできた自転車レーンは側道を青色にペイントしただけの簡単な自転車レーンで客待ちタクシーも多く、とても利用しやすいいえるものではなかったのですが、今回は通行帯の幅が十分にあり、ガードレールで自動車と完全に分離されています。
完成したばかりでまだ認知度が低く、歩行者が自転車レーンとわからず侵入してしまうとう課題もありますが、通行帯の見通しが改善されてるため、接触などの事故は大幅に減少すると思われます。
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大阪は世界屈指の自転車の街です。
産業として自転車・自転車部品の製造の歴史は長く、現在でも大阪の企業なしでは世界の自転車産業は成立しません。使用状況をみても所有台数は東京に次いで2位、所有率も埼玉に次いで2位です。交通分担率は欧州の自転車先進国と全く引けを取らないどころかデンマークやオランダと同レベルの世界最高の水準にあります。同時に自転車盗や前カゴひったくり、安全運転義務違反、放置自転車なども日本一で問題は山積みです。
都市において公共交通機関は動脈であり、自転車は毛細血管の役割を果たします。双方が健全な形で共存することでまちは活性化されます。したがって、このような自転車レーンの整備や無料駐輪場の整備は行政にとって不可欠となります。
御堂筋の自転車レーン整備が大阪の標準モデルとなり全体に広がれば大阪の自転車環境は少しでも改善されるのではないでしょうか。
▲ 広すぎる駐輪禁止区域。大阪市内ではこの10年で無料駐輪場が廃止になる一方で広域の「駐輪禁止区域」が設けられるようになり自転車利用を妨げている。それに立腹したのだろうか、無秩序な落書きが…
▲ 都市実験として側道を整備された本町通の自転車レーンは歩道の車道寄りを走行するように指示された案内看板を設置。実験としては失敗は明らかだが、あろうことか私物を置く輩のせいでその看板すら視認できない最低最悪のありさま。
▲ 不足している駐輪場対策として大阪市は歩道の一部に駐輪機を設置し公募の一般企業に駐輪場の管理を任せている。