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時代を感じる、科学技術館「自転車広場」

前回の投稿で紹介しました「自転車文化センター」には、目黒の施設とは別に外部展示室があり、自転車の歴史や技術の変遷が所蔵自転車と併せて紹介されています。

 

bicycle science

 

展示室は千代田区北の丸公園の「科学技術館」の2階の一部で、文化センターを運営している「日本自転車普及協会」が団体として協力支援する体制で、施設の財務負担を軽減しています。技術館はおよそ20のテーマ展示があり、自転車普及協会以外に食品・建築・医療・自動車など複数の団体や一般企業の支援により施設が維持されているようです。

 

science muse

 

施設は1964年開館と古く開館当初は多くの来場者が訪れていたそうですが、この日は数組入場者がいる程度で閑散としていました。靭公園にある「大阪科学技術館」は入場無料ですがこちらは大人950円、ちなみに目黒の「自転車文化センター」も無料です。私はとりわけ科学ファンという訳ではないので、どこに950円の価値があるかどうか皆目わからず、他の展示コーナーは一瞥程度でほぼ素通りし、2階の「自転車広場」に向かいました。

 

jitensha hiroba

 

「自転車広場」には、自転車史に燦然と輝く名車や100年以上前のアンティーク車などがずらりと並び、この技術館で一番の見どころといえます。大阪には「シマノ自転車博物館」があり、大展示室で膨大な実物コレクションを見ることができ感覚がマヒしてしまっていますが、首都圏の方にとってはこの所蔵が希少なスペースとなっています。

 

ordinaly

 

車輪や馬車は古代文明から存在が確認され、ジェームズ・ワットの蒸気機関の開発が1769年、カール・ベンツのガソリン自動車の特許が1879年、クランクやチェーンが実装された自転車の登場は1885年と、自転車はシンプルな構造ながら長い科学技術の歴史において比較的新しい乗り物で現在も進化を続けています。

 

gear bicycle

 

開館当初は科学熱が熱い時代でグーテンベルクの活版印刷や最先端の宇宙開発を一目見ようと来場者を集めたようですが次第に入場者数が減少、自転車振興会からの補助金や公営競技や公営くじの支援で成り立っているようです。そういえば、同館の貸会議室で自転車の展示会を見た遠い記憶がよみがえってきました。もう20年程前でしょうか。どのような運営体制になっているのか詳しくは知りませんが、何となく昭和から時が止まっているような雰囲気がします。比較として適当なのか分かりませんが、実際に自転車に乗って楽しむことができるシマノ博物館や関西サイクルスポーツセンターと違い、少し物足りない気もします。

 

keirin jyosei

 

開館から60年、ひっそりとした施設は私の目には役割を果たし終えたように見えます。科学技術の殿堂としての威厳もなく、それらへの興味よりも施設管理の悲壮感がひしひしと伝わってきました。東京にこのようなハコモノ施設が集中し飽和状態にあるのも原因のひとつで、観光資源に乏しい地方都市に移転すればその存在価値も上がるような気がします。それこそ万博のある大阪に移転すれば、再注目されるのでないでしょうか。

自転車文化センター 特別展示「THE KEIRIN展」

東京・目黒の自転車文化センターで開催中の「THE KEIRIN展」を見てきました。

 

jitensha bunka center

 

自転車文化センターは、財団法人日本自転車普及協会が運営する総合施設で、希少な自転車や関連文献の管理や研究をおこなっています。定期的にテーマ展示をおこなっていて、一般の人も自由に内覧できる施設となっています。

 

cycle culture center

 

2022年12月14日から「THE KEIRIN展」と題して、テーマに沿った歴史的な競技車両の現車が展示されています。自転車には説明パネルが添えられ、競輪や自転車に関心のない方でも分かるようになっています。

 

keirin uniform

 

本ブログでは2021年に同施設で開催された「競輪の魅力展」を紹介しましたが、前回はどちらかというとフレームビルダーに焦点があてられ、今回は主に全国にある「競輪場」を展示テーマとし、「推し」ポイントを紹介していました。

競輪は日本生まれの世界スポーツで、戦後間もない1948年から全国各地で公営され、2000年のシドニー五輪からは正式種目として採択されています。国内では着順を予想するギャンブルとして43競輪場にて競走が開催されています。

 

karavinka

 

競輪場はすべて円形走路でバンクの周長は333.3~500m、入場料も無料から100円と各施設バラバラで統一されたルールがありません。競馬には地方競馬と1954年から始まった中央競馬(JRA)の2つが併存しますが、競輪は歴史的経緯からどちらかというと地方競馬に近い性格を持ち、各地の主催が異なるためその結果として周長が異なるバンクが建設されました。62年には中央組織の前身となる「日本自転車競技会」が発足、2008年には同じく公営競技のオートレースを実質的に吸収する形で「JKA」(Japan Keirn Autorace foundation) として事業を統括しています。

始まったばかりの時期はスポーツ自転車でない実用車レースなども行われていたそうですが、現在では「トラックレーサー」と呼ばれる変速のない自転車がレースで使用されています。使用機材の審査は厳格に行われ、フレームは国内の26ヶ所の登録事業者が製作したものに限定、部品ひとつに至るまで審査を通過した登録業者が生産した製品が使用されています。

 

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スーパースターの中野浩一選手の自転車  (製作 長澤義明)

 

競輪選手のレジェンドである中野浩一選手は1977~86年までの10年間、世界選手権のスプリント競技で前人未到の10連覇の偉業達成、日本の競輪の実力を世界に見せつけました。展示の中野氏のトラックレーサーは82年英・レスターで開催された大会で実際に使用されたナガサワ製の自転車となります。

スプリント競技は1対1の競技で、マススタートのケイリンとはまた違った争いとなりますが、中野氏の脚力は抜きんでていて、その他の日本選手団もレベルが高く世界選手権では好成績を残していました。ケイリン競技の五輪正式種目認定にはこういった功績があり、中野氏はシドニー五輪では先頭誘導員を務めました。

 

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シドニー五輪のペーサー

 

最盛期には売上高2兆円、4000人以上の選手が在籍した競輪も人気が低迷し各地で競輪場の廃止が相次ぎました。売上高も6000億まで落ち込み存在感が薄れていましたが、女子競輪(ガールズケイリン)の復活やマスコット戦略など懸命な活動で売上高1兆円まで回復、IT系企業に事業価値を再評価され投資が盛んになってます。

しかしながら、競輪場への来場者数は減少の一途を辿り最盛期の30分の1と振るいません。その原因にひとつに施設の老朽化であることは本ブログでも度々考証し、新施設建設の必要性を提起していますが、積年の願いに共感をいただくことはほとんどありません。

 

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深刻な問題としては、五輪正式種目となった同年にケイリン種目を含む自転車競技の規定が変更され、競輪が「ベロドローム」と呼ばれる屋内型競技場で開催されるスポーツへと厳格化されたことです。これにより既存施設は国際的には「賞味期限切れ」となり更新が必然とされましたが、対応したのは千葉競輪場のみで、日本の「競輪」と国際スポーツ「KEIRIN」が別の競技へと変質化してしまっています。千葉競輪は「PIST6」として登録選手は二足の草鞋を履き世界を目指していますが、状況は複雑で日本は潜在力を発揮できずにやきもきする状態となっています。

この企画展も競輪の現状を広く一般にもPRする目的の展示で入場料は無料、VRシミュレーターでリアルな競輪世界を体感できる展示や映像、ご当地グッズがもらえるくじびきなど楽しめます。

 

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小倉けいりんのキャラクター「かねりん」

 

私はギャンブルは一切しませんが、公器である競輪場の老朽化問題はこれからも避けては通れない課題だと思います。そのためにも公営競技の有益性を各々がしっかり再認識する必要性があるのではないでしょうか。企画展は3月31日まで開催です。

 

 

 

自転車文化センター

  • 〒141-0021 東京都品川区上大崎3-3-1 自転車総合ビル1F
  • Tel. 03-4334-7953
  • [開館時間] 11:00〜15:00 [時短営業中]
  • [定 休 日] 月曜日(祭日の場合は翌平日)
  • [入 館 料] 無料

 

自転車パーツ Amazon店 売上げベスト10【2022年版】

2022年の Amaozn通販の販売点数トップ10ランキングです。
プライムでの出店なので送料もかからず、書籍や日用品類と同送できますので是非ご利用ください。

 

第1位 (→)
wald 137
【メーカー】WALD
【商品名】137 バスケット
【税込価格】6,050~6,930円
【特徴】米国製のフロントバスケット

 

 

第2位 (→)
mks always
【メーカー】三ヶ島 MKS
【商品名】ALLWAYS
【税込価格】7,920円
【特徴】ミニベロからグラベルバイクまで多目的で使用されるスパイクピン付きペダル

 

 

第3位 (→)
FJP600
【メーカー】THERMOS
【商品名】FJP-600
【税込価格】3,960円
【特徴】保冷力の高い真空断熱のステンレス製自転車用スポーツ水筒

 

 

 

第4位 ()
guee sl-dual
【メーカー】GUEE
【商品名】SL DUAL
【税込価格】5,060円
【特徴】雨や汗で滑りにくいポリウレタン製バーテープ

 

 

 

第5位 ()
nitto rb010
【メーカー】日東
【商品名】RB101
【税込価格】4,730~5,940円
【特徴】日本製のアルミ製ブルホーンハンドルバー

 

 

第6位 ()
guee sl-dual
【メーカー】GUEE
【商品名】SL DUAL LTD
【税込価格】5,060円
【特徴】第位の「SL DUAL」のメタリックカラーバージョン

 

 

第7位 (→)
tioga fastr
【メーカー】TIOGA
【商品名】FASTR X S-spec
【税込価格】5,280~5,500円
【特徴】ほぼ全てのトップBMXレーサーが使用しているTIOGAのタイヤ

 

第8位 ()
ergon gp1
【メーカー】ERGON
【商品名】GP1
【税込価格】5,610円
【特徴】握りやすい形状の定番のコンフォートグリップ

 

 

第9位 ()
erogon ga3
【メーカー】ERGON
【商品名】GA3
【税込価格】4,950円
【特徴】人間工学に基づいた形状のマウンテンバイク用グリップ

 

 

 

第10位 ()
topeak roadie tt

【メーカー】TOPEAK
【商品名】ROADIE TT
【税込価格】5,720円
【特徴】自転車ポンプ史上最高傑作との呼び声も高いロードバイク専用コンパクトポンプ。ツインターボ(TT)テクノロジーにより、圧縮された空気を楽々と入れることができる

 

 

 


 

自転車パーツが高騰、サプライチェーンは正常化に目途

 

2021年から原材料高騰や輸送コストの上昇で自転車及び自転車部品の値上げが相次いでいます。ランキング上位の人気商品も全商品が値上げの対象となっていて、値上げの予告が各メーカーから毎日のように届き、今後もこの流れが継続すると考えています。一例をあげますと、第9位のERGON「GA3」のグリップが2020年4070円 → 21年4730円 → 22年4950円と上昇、本年4月からは5830円となり、コロナ以前と比べると1.4倍以上の価格となります。

明るい話題としてはコロナの影響でしばらく中止されていた世界最大級の自転車見本市「台北サイクルショー」(TAIPEI CYCLE)が、本年は3月に開催される予定となっていて、新商品の開発など止まっていた自転車業界の時計が再び動き出します。22年のランキングは新商品がひとつもありませんでしたが、来年の売れ筋は大きな変化がみられる年になるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

新時代の到来「第8回サイクルパーツ合同展示会」

1月24、25日東京・浅草「東京都立産業貿易センター台東館」で開催された「第8回サイクルパーツ合同展示会」に行ってきました。

 

cycle expo 2023

 

同展示会は2016年からメーカーと自転車店を結ぶ展示会として始まり、国内最大の自転車部品の展示会となっています。国内メーカーだけでなく輸入業社もあわせて170社以上の企業が参加、新商品が実際に手に取って確かめられ、ビジネスの場として業界では認知されてきています。本ブログでも何度か取り上げていますが、昨年・一昨年とコロナの影響で中止となっていて業界も時計が止まったようになっていましたので、今回の開催はまさに新時代の幕開けといった感じでした。

 

skytree

 

会場の台東館は浅草の浅草寺の東側、ちょうど東京スカイツリーが見える方向に位置します。展示会は施設の4~7階の展示室で開催、多くの関係者が来場していました。コロナの影響で営業回りを自粛していたメーカーも多く、ここぞとアイテムのPRに熱が入っていました。

 

macoff

 

個人的な注目を上げますと、ベビーシートでお馴染みの東大阪のOGK技研のサイクルトレーラー「Camily」(キャミリー)は、新しい自転車アウトドアスタイルの提案をしていました。発売から1年程になるそうですが、自治体から防災目的での一括受注など想定していなかった活用方法があり、メーカー側も驚いているそうです。

※サンプルをお借りすることができましたので、2月末まで店でも実際に見ていただけます。

 

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▲ OGK技研のサイクルトレーラー「Camily」

 

展示会の当日は最強寒波の到来で今年一番の冷え込みとなり、雪のため飛行機や新幹線が欠航や遅延し出展をキャンセルしているブースも散見されました。会場では入場制限こそないものの、感染予防のためマスク着用・検温が義務付けられ、入退出の際は除菌スプレーを使用するなどコロナ対策をとっていました。

 

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「もう、今からでは手に入らないよ」

2023年4月からはヘルメット着用が努力義務化、3ヶ月でヘルメット工場が建設できる訳もなく4月から始まるヘルメット争奪戦を前に、転売屋に遊ばれるくらいなら目先の利益を追求せず、早々と白旗宣言している参加者の声もありました。唯一の国内メーカー「OGK KABUTO」や「GIRO」「ABUS」「LAZER」など海外ブランドも出展されていました。

 

ogk helmet

 

台湾の新興メーカーや中国の令和最新版に圧されすっかり斜陽産業の代名詞となってしまった日本の自転車産業ですが、ここ数年、工場を持たないファブレス生産により大きな設備投資のリスクを負わず軽いフットワークで設計開発に専念する日本のブランドが台頭し始めています。代表格としてトラスポーターラックという大型フロントキャリアをヒットさせた「ADEPT」です。たまたま帰りの新幹線が遅延し、開発・営業の方と話ができたのですが、生産は中国製ではなくすべて台湾に集中させることで品質や効率性をマネジメントすることでブランド力を向上させていると話していました。

 

 

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ファブレス生産の新ブランド「PDG」

 

 

バルミューダや無印良品と、ファブレス生産は家電など各分野では珍しくなくなっています。タイヤはタイヤメーカー、ヘルメットはヘルメットメーカーと分業体制が確立され産業集積を形成してきた日本の自転車産業も新たな段階になっているのかもしれません。

 

 

大阪府「ギャンブル等依存症対策基本条例」成立

2022年10月26日に全国初となる「大阪府ギャンブル等依存症対策基本条例」が成立しました。ご存じの通り、大阪府・市はIRの此花区の人工島「夢洲」にて、万博終了後にカジノ施設の開業を計画しています。同条例はギャンブル依存症への対策や理解を広げる狙いがあり、依存症患者と家族を支援する拠点整備や対策に必要な財政措置を府に求める内容を盛り込んでいます。

同条例では、公営競技やパチンコ等は楽しみをもたらす一方で、のめり込むことでギャンブル等依存症に陥る府民も少なくないとしています。さらに、ギャンブル等依存症は多重債務や失業といった経済的問題を引き起こし、日常生活や社会活動に支障を生じさせ貧困、虐待、自殺、犯罪など重大な社会的問題を引き起こし、海外オンラインカジノの増加で深刻化する傾向を指摘、依存者や家族が安心して相談や治療を受け社会復帰することを目的としています。

政府は2018年に「ギャンブル等依存症対策基本法」を施行、各都道府県に推進計画を策定する努力義務を課していましたが、府は新条例に基づいて「大阪府ギャンブル等依存症対策推進会議」を設置し、2023年3月までに「ギャンブル等依存症対策推進計画」を策定、財源を確保のための基金の新設など専門家や現場の声を取り入れながら対策を進める計画となっています。

 

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全国初のギャンブル依存症対策条例が成立   朝日新聞 大阪版 10月27日 夕刊

 

条例にもある「公営競技」とは公的機関が開催する賭博で、現在では競輪・ボートレース・地方競馬・オートレース・中央競馬が97施設で合法的に実施されています。施設の運営は自治体や団体が管理、大阪府下には岸和田市「岸和田競輪場」と箕面市などが競走を主催する「住之江競艇場」が所在していますが、府営施設は廃止され、現在は一施設もありせん。京都府は「向日町競輪場」、奈良県は「奈良競輪場」、和歌山県には「和歌山競輪場」と基本的には都道府県が運営する施設があり競走を開催していますが、大阪府は公営競技を実施していません。

2016年に成立した「自転車活用推進法」では14の基本方針が示され、駐輪場や自転車専用道路の整備などと同様に「自転車競技のための施設の整備」(第二章 第八条 四)という責務が地方公共団体に課されていて、さらに「住民の理解を深め、かつ、その協力を得るように努めなければならない」(第一章 第四条)としています。府はカジノ施設の開業と並行して、競輪場の設置も計画しなければならない状況なのです。

 

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奈良市にある「奈良県営競輪場」 2021年3月撮影

 

現存する競輪場のほとんどは1948~53年の5年間に設置された施設で老朽化が進んでいます。建替えや改装をして新しくなっている施設もありますが、公営の全く新しい競輪場は70年誕生しておらず、ほとんどの施設は時代に取り残された昭和の雰囲気を残しています。

 

 

<戦後の大阪府下の公営競技場>

住之江競艇場 [1956年-] 箕面市など主催
住之江競輪場 [1948-1964年] 政治的判断で休止
大阪中央競輪場 [1950-1962年] 政治的判断で廃止
豊中競輪場 [1950-1956年] 政治的判断で休止
岸和田競輪場 [1951年-] 岸和田市主催
大阪競馬場 [1948-1959年] 政治的判断で廃止
春木競馬場 [1929-1974年] 売上低迷により廃止
長居オートレース場 [1951-1952年] 売上低迷により廃止

 

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老朽化が激しい競輪場の施設   奈良競輪場2021年撮影

 

 

競輪が始まった1948年はまだ連合軍占領下で戦禍の瓦礫が累々と取り残され、電力や食糧の確保もままならない社会情勢で競輪は空襲された都市を中心に復興目的で開催されました。48年に小倉(北九州)と大阪住之江の2ヶ所、翌年には東京・神戸・京都・和歌山・西宮・鳴尾(甲子園)など19施設、5年間で全国に63競輪場が突貫工事で建設され熱狂的な人気となりました。戦後の奇跡的な経済復興には、このような大規模な公共投資による財政政策あった史実はあまり知られていませんが、競輪の収益金はその後の高度経済成長期におけるニュータウン建設や大阪万博、また公衆衛生や社会福祉事業などの都市基盤整備の貴重な財源として大きな役割を果たしました。競輪の大成功を受けてその後にモーターボート競走と中央競馬が各地で開催されるようになり、日本は米国に次ぐ経済大国へと成長しました。

一方で、公営競技は様々な問題を引き起こし、その存廃を巡って議論されてきました。特に、競輪が始まった48年から破壊活動防止法が成立するまでの5年間は、売上金狙った放火略奪事件が競輪場で相次いで発生、なかでも50年に兵庫県の鳴尾競輪場で発生した大暴動「鳴尾事件」は、観衆1万人のうちおよそ半数の5000名が騒動に加わり、警察や米軍憲兵が鎮圧にあたる事態となり、死者1名、250名の逮捕者を出し、影響を受けて開催自治体の鳴尾村は廃村となってしまいます。

 

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鳴尾競輪場で発生した大暴動「鳴尾事件」 1950年9月

 

このような状況に日本共産党を中心に公営競技廃止論が高まりはじめ各地で革新首長が誕生、1975年4月の東京都知事選は都営ギャンブルの存廃を争点に廃止論者のマルクス経済学者・美濃部亮吉とそれに真っ向反対する石原慎太郎が激突、石原が敗北し後楽園競輪が廃止される事態となります。大阪・京都市でも共産党が支持する候補者が当選、財政的な視点ではなく首長の政治的なイデオロギーにより撤退が相次ぎました。

(石原と公営ギャンブルについては昨年7月に追悼のブログを投稿していますので、そちらをご参照ください)【追悼】石原慎太郎の屈辱と野望「新しい競輪」 [2022年7月7日投稿]

 

このように公営競技は合法ながらも政治思想によって運営が制限され、開催日を土日祝に限定する「ギャンブルホリデー」(1963~84年)や公営競技場の新設を推奨しない「長沼答申」(1961年)などの方向性がしめされました。ただ、ギャンブル熱がそれで収まったかというとそうではなく「長沼答申」が出された同年に大阪府警OBの水沼年得はパチンコの換金を仲介業者で行う「三店方式(大阪方式)」を考案、それまで出玉を景品に交換していた遊戯は金銭に交換可能なギャンブルとて大流行し現在に至っています。

パチンコは効果音やパターン点滅を採用した射幸心を煽る遊技台を各メーカーが開発、パチンコホールも休催日もほぼなく毎日営業するため非常に依存性が高くなります。精神科医の帚木蓬生(ははきぎ・ほうせい)氏が、2005年から2年かけておこなった依存者の嗜癖調査では、患者100人中96人がパチンコ・パチスロを嗜好し、競輪は100人中たった1人、サイコロ賭博や花札よりも少ないという実態が報告されています。

新条例ではパチンコと公営競技の依存を同じように定義していますが両者は性質が異なり、公営競技は「反対する声」を真摯に受け止め、行政と一体となり改善を重ね、現在では適正円滑に遂行され依存症対策の規範となっています。27日付の朝日新聞(大阪版 夕刊1面)では、薬物依存者の対談を掲載し新条例成立を掲載していますが、本当にリテラシーがなく誤解を招く報道姿勢だと思います。

 

 

keirin

 

競輪は日本生まれの世界スポーツ「KEIRIN」として2000年のシドニー五輪からオリンピックの正式種目にもなっています。その際、同時に競技規則が屋内型の250m板張り走路と厳格化されたのですが、日本国内にはこの国際基準の施設がなく、ほとんどの施設が賞味期限切れとなっています。新ルールになり20年以上が経過、欧州各国・米国・カナダ・豪州などの先進国は公認ベロドロームを設置、中国・ロシア・香港・インド・イスラエル・コロンビア・トルクメニスタン・マレーシアなどでも国際大会が実施されています。母国としては一刻も早く施設の整備を進めたいのですが、なかなか理解が深まらず各基礎自治体から具体案がでてきません。

 

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外国語案内がない公営施設「小松島競輪場」 2021年8月撮影

 

条例成立は府民一人ひとりがギャンブルについて考えるきっかけとなる一里塚で、この先、公営競技をどのような展望があるのかといった大綱や具体的に府営競輪場をどこに設置すると経済効果があがるのかといったシミュレーションなどが議論のテーブルに上がれば、より高いレベルの地方自治が実現できると思います。

本ブログでは2025年に此花区の人工島「舞洲」で開催される関西万博のパビリオンをスポーツアリーナとして再活用し、カジノ施設に訪れた海外のギャンブル好きの観光客の方に本場の競輪を体感していただくことで、文化やスポーツ・レジャーとして魅力的な相乗効果があるのではないかと考えています。

舞洲の成功がドミノのように各自治体に広がり、停滞する日本経済に神武の再来となる好況が期待できると思います。パチンコホールは全国で8000施設ありますが競輪場は42施設、本来は適材適所に設置すべき公営施設は政治的な対立を経て、忘れ去れた存在となっています。石原亡き今、声を上げる者もなくなり、日本は母国の輝きを失いつつあります。

自転車パーツ 店舗売上ベスト10 【2022年】

2022年のパーツの売り上げ点数ランキングトップ10です。

 

 

第1位
abus 5805combo
【メーカー】ABUS
【商品名】5805C
【税込価格】5940円
【特徴】ドイツブランドABUSの4桁のチェーン錠。長さ110cmで、ダイヤルは好みの番号に設定することができる。

 

 

第2位
abus 5805
【メーカー】ABUS
【商品名】5805K
【税込価格】5940円
【特徴】第1位の「5805C」のキータイプ。スペアキー付きで、盗難見舞金対象モデル(要登録)

 

 

 

第3位
lezyne

【メーカー】LEZYNE
【商品名】classic drive 500
【税込価格】6490円
【特徴】円筒型のクラシックなフォルムながら500ルーメンの高輝度ハイテクノロジーな充電式の前照灯。クロモリ製自転車にも似合う雰囲気。残念ながらシルバーが廃色となり、ブラックのみとなります。

 

 

第4位
lezyne minidrive
【メーカー】LEZYNE
【商品名】mini drive400
【税込価格】4950円
【特徴】美しい仕上げのアルミボディに400ルーメンの高輝度の前照灯。ハイテクノロジーな台湾製の自転車部品を象徴する充電式ライト。

 

 

第5位
maxxis refuse
【メーカー】MAXXIS
【商品名】re-fuse
【税込価格】5500円
【特徴】耐パンク性の高いブレーカー入りのタイヤ。クロスバイクのパンク修理で来られた方に、選択肢のひとつとして提案していて、高評価をいただいております。

 

 

 

第6位
abus 1500
【メーカー】ABUS
【商品名】1500
【税込価格】2992円
【特徴】ABUSの110cmのチェーン錠で最もリーズナブルなタイプ。

 

 

第7位
maxxis  detonator
【メーカー】MAXXIS
【商品名】Detonator
【税込価格】4400円
【特徴】GIANTのクロスバイク「ESCAPE」等に採用されていたオーソドックスなタイヤ。

 

 

第8位
knog 2021
【メーカー】knog
【商品名】Oi
【税込価格】2970円
【特徴】クラウドファウンディングKICKSTARTERで資金を調達し開発された、革新的な自転車用ベル。

 

 

 

第9位
finishline dry
【メーカー】FINISH LINE
【商品名】DRY (120ml)
【税込価格】1375円
【特徴】定番中の定番のチェーンオイル。

 

第10位
knog frog
【メーカー】knog
【商品名】frog V3
【税込価格】3960円
【特徴】knogのシリコンボディのライト。ランキングの中で唯一の新商品。

 

 

 

 

 

※キックスタンド,チューブ,シマノのブレーキシュー・ワイヤー・チェーンを除いたランキングとなっています。

 


 

 

高騰する自転車パーツ、ヒット商品は皆無

昨年とほとんど同じランキングで、特にヒット商品はなくABUSのチェーン錠など定番のロングセラー商品がコンスタントに売れている状態となっています。本年はほぼすべての商品が値上げとなりましたが、それでも売れ続けているブランド力の賜物といえます。また、コロナ禍でもほとんど品切れを起こさず、安定供給できているのもセールス数を保つ要因といえます。一方で、新商品はどれも値段が高くなってしまい、飛びつくように売れるアイテムは皆無でした。第10位のknog「frog V3」や秋に発売された「SCOUT」などはもっと売れるかと思いましたが、国内のユーザーの反応は冷ややかだったように思います。

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