2014年7月30日、大阪府警は2012年までの過去5年間に自転車盗など計8万件以上の事件数を少なく装う「不適切処理」があったと発表しました。
街頭犯罪の認知数で全国ワースト1位が続いていた大阪府は汚名返上のため件数を不正に操作、2008~12年にわたり全65署で府内の刑法犯認知件数のおよそ1割を過少計上、未計上のうち自転車盗は45%を占める3万7千件で最多、府警は内規基づいて幹部を含む処分がされました。
「自転車は被害申告後に見つかるケースがある」
不正が始まったきっかけは08年に橋下知事(当時)が「街頭犯罪の全国ワースト1」の返上を表明、減らせという重圧から現場ではありのままを報告できなくなり、同一犯をまとめて「1件」、自転車部品盗難は実害がないとして計上しないなどとした独自の解釈「大阪ルール」が全署に広がり過少報告が行われていました。
「不適切処理」から10年、処分が口頭注意など軽微だったことから若い警官の中にはこのような不正があったこと自体知らない人もいます。風化させないためにも発表翌日の新聞記事を読み比べ、振り返ってみたいと思います。
<読売新聞>
組織ぐるみ 市民欺いた
[特色]
・不正を「組織ぐるみ」と断定
・経緯が分かりやすい
・統計偽装が与える影響を懸念している
<毎日新聞>
「ワースト1返上」の重圧 市民ら落胆
[特色]
・堺署が34.4%過少報告しているなど上位5署を公表している
・吉本興業木村政雄プロデューサーにコメントを求める謎の取材先
・「放置自転車が後をたたないとされる古川橋周辺」と事件と無縁ような写真を掲載
・処分280人としている(他紙は90人ほど)
<産経新聞>
不正処理 ルール都合よく
[特色]
・府警が組織ぐるみの不正を否定していることを批判
・不正はあったが認知犯罪自体は「減少」しているファクトを指摘
・グラフが難解
<朝日新聞>
橋下改革が拍車
[特色]
・殺人や強盗など「重要犯罪」が605件含まれていることに言及
・お得意の橋下批判
大阪府警がこのような不適切処理を行っていたことは「自転車防犯登録所」でもある自転車店はうすうす把握していたと思います。少なくとも私は被害者の方から「警察が被害届を受理してくれない」などの声を多数いただいていて、協会を通じ改善を要求していました。このような声は処分発表後もしばらく続いていましたが、警察の体制が厳格化したのかここ数年はほとんどなくなり「大阪ルール」も消滅したように感じます。
しかしながら、近年では転売目的で高額車にターゲットを絞った事例やライト・サドル・電動バッテリーなどの部品盗など計画的な手口が報告されています。当店は小さい店ではありますが、自転車錠は常に40種200錠以上店頭ストックしていますので、自転車盗対策はご相談ください。