現在、兵庫県内では競輪は行われていませんが、かつては4ヶ所の競輪場で競走が開催されていました。
FILE④で紹介した甲子園(鳴尾)競輪場の他には、ヴィッセル神戸の本拠地ノエビアスタジアムにあった神戸競輪場、明石城跡にある明石競輪場、そして阪急西宮スタジアムです。
西宮スタジアムは阪急電鉄の西宮北口駅のすぐ南側に位置し、パリーグの阪急ブレーブスの本拠地として使用されていました。子供の頃、何度かこの球場で公式戦デーゲームを観戦したことがあります。サブマリン投法の山田久志、韋駄天の福本豊、吠えるアニマル・レスリーと試合は子供ながらに物凄く面白かった記憶が残っています。一方で観客席はガラガラで、トイレが衝撃的に不衛生だったのをかすかに覚えています。
スタジアムは野球以外に、アメリカンフットボールやコンサートにも使用され、パネルを敷き詰めて競輪も行われていました。
|野球場の中のバンク「西宮競輪」
阪急ブレーブスは1988年にオリックス・ブレーブスとなり、91年には本拠地をグリーンスタジアム神戸へ変更、以後プロ野球での使用頻度が減り、西宮スタジアムは競輪の開催がメインとなります。
開場直後は木製パネルをサーカスの様に組み立て使用していたようですが、選手からの評判は悪く、落車時はささくれが突き刺さり酷い擦過傷が残ったそうです。
1995年には阪神大震災が発生、スタジアムは避難所や自衛隊の活動拠点として使用され、ボンジョヴィやSMAPが復興コンサートをするなど長く親しまれてきましたが、2002年に兵庫県内の競輪が廃止となると、スタジアムは取り壊され、跡地にはショッピングセンターとなることが決まります。
一時は甲子園競輪場との合併も検討されましたが、鳴尾競輪場での事件で兵庫県では競輪のイメージが悪く、競輪場の警備や予想屋などの利権をめぐって暴力団抗争が起きるなどの問題も発生して、廃止の声は強く、残念ながら県内の競輪場が全廃となります。
▲兵庫県内の競輪場の予想屋 本文とは一切関係ありません
2008年、跡地に「西宮ガーデンズ」という県内でも最大規模のショッピングモールが建設され、今では買い物客でにぎわっています。
野球場の中の競輪場というのは少し珍しいようですが、実は読売ジャイアンツの本拠地である東京ドームも競輪が開催されたことがあり、2003年の都議会では石原慎太郎知事(当時)がドームでの競輪を再開する意向を表明しました。
都はいまだに競走の再開を実施していませんが、コロナの影響で財政が悪化している都政の改善案として早く再開に取り組んでもらいたいところです。