本ブログでは以前に大阪は人身事故や放置自転車数が全国ワーストである投稿をしました。人口が多く、自転車の保有率が全国2位の大阪は不名誉にも自転車関連の犯罪が多く、自転車盗難率も全国ワーストとなって、街頭犯罪の80%が「自転車盗」となっています。これは「ひったくり」の60倍で、大阪の警官は自転車の盗難の書類作りが日課となっている状況なのです。
▲ 大阪市中央区の街頭犯罪 自転車の盗難が大半をしめている
大阪府は2008年に橋下知事(当時)が「街頭犯罪 全国ワースト1」の返上を表明、自転車盗「脱ワースト1」を公表していましたが、2014年に大阪府警による組織的統計偽装が発覚、全65署おいて8万件の街頭犯罪のを過少計上し、統計偽装に関わった90人の警官を口頭注意など処分をしています。8万件のうち45%占める3万7000件の自転車盗を統計に加えると偽装期間の2008~12年も全国最悪で、防犯登録所である弊社にも「警察が被害届を受理してくれない」などのクレームが寄せられていました。
▲ 戦後最大の集団偽装事件、大阪府警による組織的治安偽装 産経新聞 2014年7月31日
自転車には「防犯登録」が義務付けられていて足が付き易いため、最近ではライトなど付属している部品を盗み、インターネットオークションやフリマアプリで売却する手口が横行しています。特に、電動アシスト自転車のバッテリーを狙った被害が急増していて大阪府は警戒を呼びかけています。
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そしてまたしても、我が街大阪でとんでもない窃盗犯が逮捕されました。
「かっぱ男」窃盗疑い逮捕 320着押収
自転車のかごから女性用の雨がっぱを繰り返し盗んだなどとして、大阪府警阿倍野署は22日までに、窃盗などの疑いで大阪市東住吉区、会社員依田淑雄容疑者(51)を逮捕、追送検した。自宅から雨がっぱ約320着を押収。雨がっぱばかりを狙う手口から、捜査員の間で「かっぱ男」と呼ばれていた。
署によると、依田容疑者は「女性の肌に触れる雨がっぱを見ると、下着と同じような感じがして興味があり、2009年ごろから始めた」と供述。雨天時に雨がっぱを着た女性の後を付けたり、止めてあった自転車の前かごに干されていた雨がっぱを物色したりしていた。 (共同通信 2022年9月22日)
▲毎日新聞 大阪版 2022年9月23日
窃盗の疑いで逮捕・送検された東住吉区桑津1丁目の新聞配達員・依田淑雄容疑者は、2013年12月から今年5月までの間、大阪市や東大阪市で雨の日に女性のあとをつけ、脱いだレインコートを盗むなど、100件以上の窃盗を繰り返し、警察は「かっぱ男」として男の行方を追っていました。
依田容疑者のように定期的に現れるパラフィリア障害とみられる自転車部品盗は、今までサドルに限定されていたため、自転車の前カゴに入ったレインコートという社会通念から大きく逸脱した異常な性的嗜好には困惑してしまいます。また、2020年に発覚した須田広昭による大量サドル盗難事件と犯行時期・エリアが重なることから、両者は地下で熾烈な犯行合戦が繰り広げていたということとなり、大阪府警にとってはまさに汚名返上となる逮捕で、地域に住むの女性はようやく安心して眠れます。
こうした収集癖が起こす事件はたびたびニュースで目にしますが「変態」や「フェチ」などと一言で片づけられ、なぜ窃盗を起こすのかという本質に迫ることはありませんでした。文筆家のインベカヲリ★氏は、2013年に横浜で発生した連続サドル盗事件で逮捕された近藤丈司(35)を取材、メディアが事実を大げさに歪曲し近藤を異常性癖者のように報道されたことを不服とし訴状が提起されている事実を明るみにし、コメントを得ることに成功、「新潮45」(2016年4月)に投稿しました。
「新潮45」によると2013年神奈川県横浜市にて自転車のサドルを200個を盗んだとして35歳の男が逮捕、1日平均3~4個、最高で8個のサドルを盗んだとしています。
「匂いを嗅いだり舐めたりした」
「サドルに若い主婦の股部が付いている姿に興奮し舐めてみたいと思うようになった」
男は自慰行為によってたまらなく性欲が満たされ、次々に盗むようになったと供述しているとしています。神奈川県警は2012年12月頃から県内で自転車のサドル盗事件が頻発していたため、プロジェクトチームを編成し捜査、狙われるサドルはベビーシートが付いているなど一目で女性が使用していると推測ができる自転車であるという共通性があり警戒を強めていました。
男はその後に不起訴となり、報道したメディア6社と神奈川県に対し深刻な名誉毀損を受けたとして提訴、
「サドルに対して性的な興奮を覚えるフェチではない」
「盗んだサドルの匂いを嗅いだり舐めたりしたことがあったのは事実であるが、それが盗みの目的ではなかった」
男は犯行の動機は行きつけの日焼けサロンでの「人間関係のストレス」であり、性的な目線は一切なくテレビ報道で「仰天!サドルフェチ男」などと陳列された200個の押収品の映像とともにデフォルメされた報道に不快感を持ち、さらに2015年に受けた知能検査で成人の平均がIQ100に対し、それをはるかに下回るIQ50という知能指数の低さに苦しみ通院歴があり、薬物治療を続けていることを神奈川県警が発表しなかったことで記事が不本意に拡散したとしている。これに対し、県警は普通免許を所持している点や犯行の際に指紋を残さないように黒手袋を着用している点などから「責任能力がない訳ではない」としています。
犯行時の精神的疾患や障害の程度は分かりませんが、犯行が狡猾で計画性があり逮捕時の供述を修正しているため近藤の主張を受け入れるにはさらに詳しい説明が必要となります。また、近藤は革製品が好きでサドルの「革」のにおいや質感がたまらないと供述していようですが、ママチャリ用のサドルはポリウレタン製の合成皮革であり本革ではありません。ストレスが原因で「サドル盗」を引き起こすという心理も極めて難解です。真相は分かりませんが、自転車店という立場から見ると近藤が変態かどうかは問題ではなく、自転車製品を繰り返し盗むことが大迷惑で許しがたい行為なのです。
「かっぱ男」こと依田淑雄が今後どのような処罰がくだされるか、本ブログでも注目していきたいと思います。
<自転車関連の街頭犯罪事件簿>
① 2013年4月 横浜 サドル盗事件 近藤丈司(35)
② 2019年10月 東京 大田区 サドル盗事件 羽鳥秋夫(61)
③ 2018年6月 長野県議 自転車サドル器物破損事件 生出光(28)
④ 2020年2月 トラック運転手 サドル盗事件 須田広昭(57)
⑤ 2022年9月 大阪 かっぱ男事件 依田淑雄(51) ←New
【ケース①】近藤 丈司
女性の自転車のサドルを盗んだとして、神奈川県警山手署は24日、窃盗の疑いで、横浜市中区立野、無職、近藤丈司(じょうじ)容疑者(35)を逮捕した。
1月ごろから、女性が使っているとみられる自転車から革製のサドルだけを選んで盗みを重ねていたといい、同署は自宅からポリ袋に入ったサドル計200個(計120万円相当)を発見、押収した。(2013年8月25日 サイクリスト)
【ケース②】羽鳥 秋夫
自転車のサドルを盗んだとして、警視庁蒲田署は窃盗の疑いで、東京都大田区南六郷、アルバイト、羽鳥秋夫容疑者(61)を逮捕した。同署によると「去年の夏ごろにサドルを盗まれて買い直し、他人に同じ思いを味わわせてやろうと、腹いせに盗むようになった」と供述している。
自宅からサドル159個を押収。羽鳥容疑者が自転車の前かごに複数のサドルを入れて走行する姿が防犯カメラで確認されており裏付けを進めている (2019年10月3日 産経ニュース)
【ケース③】生出 光
長野地検は21日、器物損壊罪で元長野市議の生出光容疑者(28)=長野市伊勢宮=を起訴した。認否は明らかにしていない。起訴状によると、生出被告は1月30日午後11時50分ごろ、市内の住宅敷地に駐輪されていた自転車のサドルに体液を付けて汚し、損壊したとしている。器物損壊容疑で5日に逮捕されており、同7日に市議を辞職していた。一方、県警長野中央署は21日、強制わいせつの容疑で生出被告を再逮捕した。逮捕容疑は4月19日午後7時40分ごろ、市内の路上で、通行中の10代の女性の身体を触るなどしたとしている。関係者によると、生出容疑者は、いずれの事件についても、容疑を認めているという。(産経ニュース 2018年6月21日)
【ケース④】須田広昭
大阪府東大阪市で自転車のサドルを盗んだとして、河内署は28日までに、窃盗の疑いで静岡県沼津市、トラック運転手須田広昭容疑者(57)を逮捕した。署によると「約25年前に仕事のストレス解消で東京や大阪で盗み始め、収集がだんだん楽しくなった」と容疑を認めており、署は須田容疑者が借りていた貸倉庫からサドル約5800個を押収した。
署によると、これだけの量のサドルを押収するのは異例。大半は一つずつポリ袋に入れられて保管されていた。須田容疑者は各地をトラックで回りながら、都市圏を中心に、行く先々でサドル窃盗を繰り返していたとみられている。(2020年2月28日 共同通信)