青山アートスクエアで開催中の「自転車とモード展」を見に行ってきました。
青山アートスクエアは、伊藤忠商事の東京本社ビルの隣で、同社の社会貢献の一環として運営されているアートギャラリーです。毎年5月に、日本サイクリング協会や自転車文化センターなどの後援を受け、自転車に関する催しが開催されています。
2017年は「自転車とモード展」と題し、八神商会の門外不出のコレクションを大型ポスターや錦絵とともに自転車の黎明期からの変遷を振り返る企画展です。
自転車関連企業でもない伊藤忠商事が、自転車展を開催するとだけでも自転車屋としては嬉しい話なんですが、毎年継続的に入場無料で開催しているというから驚きです。
展示の自転車は20台はどあり、当時の販促ポスターと一緒に展示することにより、自転車の特徴や雰囲気などが伝わるだけでなく、単なる実用品である自転車が本来の姿を超え芸術作品となっています。回を重ねているだけあって、小規模ながら見どころも十分です。
全く自転車に興味がない人にもわかりやすいうえに、自転車の研究者でもほとんど目にしたことのない貴重な自転車が並んでいます。なかでも1890年代のフランスの一輪車「モノサイクル」は、世界に2台しか現存せず非常に貴重な展示となっています。もう一台は、米国のスミソニアン博物館が所有しているようです。
1932年製のロイヤルエンフィールド社の婦人用自転車を囲むように、自転車が描かれている明治から昭和初期の錦絵25点が、現在の同じ場所の写真ともに展示。明治から昭和初期、東京という都市が、自転車の普及とともに成長し今に至っていることがわかります。
現在は自転車をママチャリと呼称するほど女性にまで普及していますが、女性普及率が1割を超えてきたのは昭和中期以降のことで、当時は裕福な家庭で育った活発な女学生や緊急をようする産婆(助産師)など一部の人に限られていました。
1868年製ミショー型自転車
ミショー型は1860年に発明された前輪駆動の自転車で、地面に足をつけずにペダルをこいで走行できる最初の自転車です。その後、85年にスターレーによってチェーンドライブ式の安全型自転車が販売され、88年には空気入りタイヤがダンロップ博士によって発明され飛躍的により心地が向上。そして、1902年にはアメリカでライト自転車会社のライト兄弟が初の飛行に成功します。
「自転車とモード展」は5月28日(日)まで開催されています。
|| 青山アートスクエア
住所:東京都港区北青山2-3-1
運営:伊藤忠商事株式会社
アクセス:東京メトロ 銀座線駅「外苑前」 徒歩2分
営業:11:00-19:00
料金:入場無料
| 自転車とモード展
|| 八神商会
<沿革>
1949年 八神史郎氏、名古屋地区最大の自転車メーカー日帝工業入社
1951年 史郎氏、日帝の貿易部門にてアジア輸出配属
1959年 伊勢湾台風で日帝が壊滅的被害、史郎氏が貿易部門を引き継ぎ八神商会を設立
1960年 八神商会、台湾現地法人を設立
1996年 名古屋市内に「サイクルギャラリーヤガミ」を開設
– –