梅田で開催されたBMXレースTOYOTIRES「DOWNTOWN BMX」を観てきました。
8月26日、グランフロント大阪の南側のうめきた広場にて開催された「DOWNTOWN BMX」は、北京五輪代表の阪本章史さん発案の新しい都市型の自転車競技です。レースとフリースタイルが融合したスタイルで、およそ150m特設コースを1対1で走行、着順とジャンプから勝敗を決める世界初のイベントです。
大阪の人でうめきた広場を知らない人はいないと思いますが、JR大阪と商業施設グランフロントの間にある都市空間で普段から多くの人が行き交う場所です。定期的にイベントが開催され冬場はスケートリンクになったりしています。私は仕事終わりに立ち寄りセミファイナルから観戦、大勢のギャラリーで寿司詰め状態の会場はショーアップされ、すでに熱狂に包まれていました。
BMXは20インチの変速のない自転車で、ダートコースのレース競技「レース」とスケートパークでの演技種目の「フリースタイル」の2種目がオリンピックの正式種目となっています。このイベントには東京五輪BMXフリースタイル代表の大池水杜選手など両種目からトップ選手が出場、会場を沸かせていました。
コースレイアウトはダートレースをコンパクトにしたようなリズムセクションや湾曲ランプがあり、最大の見せ場は最後のジャンプ台でのエアーとなっています。どうやら、インコース側とアウトコース側を入れ替えて合計2本同じ選手と走り、2本とったら勝利、1勝づつで引き分けた際は最後のエアーの高さで勝敗を決するルールのようです。
ダートレースはスタートダッシュでおおよその勝敗が決まることが多いのですが、新競技はコーナリングも目が離せず、命知らずの選手が格闘技さながらの激しいバトルを見せつけ会場はヒートアップ、激しい接触で走行不能に破壊した自転車をなりふり構わず担いで猪突猛進する選手や鮮やかなトリックを披露し会場を沸かせる選手、初開催ゆえに本当に何が起こるかハラハラするスリリングな展開にボルテージは決勝を前に最高潮となりました。
決勝は雷鳴轟くなか、男子は吉村樹希敢選手の落車により2023年全日本選手権覇者の増田優一選手が初代王者に、女子は野村凪沙選手と浅見渚選手との「なぎさ対決」を蝶のような華麗なコーナーリングで浅見選手が制しました。両者ともにインタビューでは多数のギャラリーのいる大会での勝利を喜んでいる様子でした。
普段から人が多いこのエリアですが会場はいつもにも増して大盛り上がり、興行としても大成功だったのではないでしょうか。初開催でこの反響なら今後はさらなる発展の期待ができ、様々な場所から開催オファーが来るように思います。御堂筋エリアやアメ村、京都、神戸でも絶対に成功する感じがします(オレンジストリートでも是非やってください…)。この大会を観ると、そもそも、なぜBMXのレースは土走路のダート競技だけなのだろうと疑問が湧き、公道や公園を使用したBMXのストリートレースの発展の可能性を感じました。
競技の垣根を越えて融合した新種目は、さながら格闘技「K-1」の黎明期の雰囲気に重なります。メジャースポーツとはいえなかった空手がプロレスのリングに場所を移し新しいファン層を獲得したように、もしかすると近い将来、日本の大晦日は家族そろってBMX中継を観るというような未来もあるかもしれません。